雰囲気でわかる「囲碁ってあれなにやってるのか」講座



立ちあがれ! 囲碁を知らないひとよ!


突然だけど囲碁が好きだ。


履歴書の趣味・特技の欄には囲碁と書くほどに、自信をもって好きだ。

老後はスーパー囲碁おばあちゃんになって強いおじいちゃんを負かしまくりたいと思っている。


しかし、私の知り合いに囲碁を知るひとはすくない。

みんな囲碁を敬遠しているふしがある。

なぜなのか。


聞いてみるとだいたいが「ルールがむずかしそう」とか「おじいちゃんがやるもの」など、はじめからイメージだけで毛嫌いしているパターンが多かった。

ほかにも「アタマ良くないとできないんでしょ?」だなんて、私ができてる時点で私の知り合いなら察してもよさそうなものだが、よほど盲目的にそういうイメージが先行しているのだろうか。


たしかに、テレビで囲碁の対局シーンなどを見ていると、囲碁を知らないひとならぜったいに困惑するであろう「わけわからなさ」が存在していると思う。


悩むおっさん。

白いのと黒いのがごちゃごちゃの盤上。

聞いたこともない用語の飛び交う解説。


……なにやってるのこれ??


これが、囲碁を知らないみなさんにとっての正直な感想なのではないだろうか。

今は囲碁サイドに立つ私も以前はものすごく不思議に思ったもので、なんとその不思議さが私が囲碁をはじめた動機にもなっている。

そのくらい囲碁ってわけわかんないと思うのだ。


最近は人口知能のアルファ碁が韓国のトップ棋士に勝ったり、日本のプロ棋士の井山裕太さんが史上初の7冠制覇を成し遂げたりして、何かと囲碁が話題になっている。

いま囲碁のことが気になっているひとは、きっとけっこういるはずだ。

そんなひとたちに、なんとかして囲碁の魅力をすこしでもわかってもらいたい。

こころのフィルタをはずして、素直な気持ちで囲碁のことをみてほしい。



そんな想いから、囲碁ってあれなにやってるのかがわかる講座を作った。

私なりにどうすれば囲碁の魅力が伝わるかを考えた結果、あのわけわかんない場面でいったいなにがおこなわれているのか、それがわかれば囲碁の魅力もすくなからず伝わるのではないかと思ったのだ。

べつにルールまで覚えたくないし打てるようにならなくてもいいけど、なんとなくでいいからあれなにやってるのか知りたい、そんなひとに読んでもらいたい。

また、これを読めばいつ周りに囲碁の話題をふられても知ってる顔ができるというメリットもあるので、流行の話題に敏感な方にもおすすめしたい。


そしてあわよくば、囲碁を知らないひとがこれを読んで囲碁の魅力を知り、すこしでも囲碁を好きになってくれたらいいと思う。

それと同時に、囲碁を好きなひとがこれを読んで、私のことが嫌いにならなければいいと思う。


それでは、雰囲気でわかる囲碁講座をはじめます。







○●○●○雰囲気でわかる囲碁講座○●○●○





このひとは囲碁一郎さん。

今日は長年のシングルライフを卒業すべく、碁盤でひらかれている婚活パーティーにはじめてやってきました。



そしてわたしはあなたの囲碁の先生、白石黒美。

囲碁は黒石と白石のせめぎあいのゲーム。

そして婚活パーティーもまた、男と女のせめぎあい。

共通しているエッセンスがおおいにあるのよ。

これから私といっしょに、囲碁一郎さんの婚活のうごきでわかりやすく囲碁について学んでいきましょう!

これを見れば、囲碁ってあれなにしてるんだろう? っていうギモンが雰囲気で解決できるハズよ。





~序盤1・ドキドキの会場入り~


まずは序盤戦。

囲碁一郎さんが、婚活パーティーがおこなわれている碁盤会場にやってくるシーンから見てみましょう。

今日の碁盤会場は、13×13マス。

碁盤でおこなわれるふつうの婚活パーティーは19×19マスが基本だけど、囲碁一郎さんのようにはじめてのひとは今回のように小さい会場からデビューするのがオススメ。

最近では、よりアットホームな9×9マスも人気があるのよ。



囲碁一郎さんは、どうやら一番乗りに会場に着いたみたい。

緊張しているのか、本来の人見知りの性格があわられたのか、会場のスミを陣取りました。

囲碁一郎さんの第一手目、とっても良い位置ですね。

慣れない会場で心細いときは、まずはスミっこにいて会場の様子を見守るのが得策。

けっしてデビッド・ボウイみたいではないけれど、期待できるすべりだしだわ。


おや? 

こうそうしているうちに、ひとりめの女の子がやってきたみたいよ!

たいする女の子のポジショニング(第二手目)も、スミっこだったわね。

このように最初の数人はそれぞれに、居心地を重視した場所取りを目指します。

人気がある場所は、四隅や壁際などの落ち着けるところ。

まずは落ち着いて、これからの戦いに備えてしっかりと自身の体勢を整えるのです。

これが囲碁でいう「布石」です。




ポイント1:「布石」とは居心地のいい場所取り









~序盤2・声を掛けてみたい~


では、囲碁一郎さんと女の子のその後のようすを見てみましょう。

囲碁一郎さん、女の子が気になってしかたないようですね!

話しかけたいのでしょうか?

女の子はスミっこで声をかけられるのを待っているようです。

しかしこの場合、囲碁一郎さんは女の子との距離が遠すぎます。

声をかけることができず、囲碁一郎さんはもどかしそうね。


すると女の子のすぐ近くに、3人目(第三手目)がやってきました。


この男性は囲碁一郎さんと違い積極的なタイプだったようで、まだ会場の四隅が空いているのにも目もくれず、女の子に話しかけに行きました。

自分に自信があるなら、こんな作戦ももちろんOK!

女の子をゲットするためには、ときに玉砕覚悟で近づいていく勇気も必要よね。

この男性のように相手のそばへアプローチしに行くことを、囲碁では「カカリ」と言うの。

この男性は積極的すぎていきなり行ってしまったけど、たいていはひとまず碁盤会場の四隅や壁際が埋まってきて良さげなポジションがなくなってきたらカカリを考えます。

居心地が良さそうな相手の場所にもぐりこむチャンスをうかがう、とっても有効な戦術なのよ。




ポイント2:「カカリ」は「はじめまして」のアプローチ








~序盤3:ともだちを守るうごきを知ろう~

今度は、積極的に女の子に話しかけに行った第三手目の男性に注目してみましょう。

このあとふたりは囲碁一郎さんの見ている前でうまくまとまってしまうのでしょうか。



真ん中にあらわれたピンク色のドレスの女性に注目してください。

この女性は、赤いドレスの女の子といっしょに来たおともだちです。

さしづめ「アタシのともだちになにか用?」といった具合でしょうか。

これが俗にいう、ともだちを守るうごきです。


でもだまされないでください。

このうごきはともだちを守っているように見せかけて、実は自分が攻めるためのきっかけ作りである場合もあります。

この場合がどちらにあたるのかは、今後のこの女性の動向を見なければわかりません。


ただ、お目当ての女の子のガードが固まってしまったのは事実。

仲間の出現で、数の上で負けている男性はすこし状況がむずかしくなってしまいました。



囲碁にもこのようなうごきがあります。

先にいる仲間を援護して体勢を安定させ、臨戦態勢を作るわけです。

パーティーでひとりぼっちという状況はこころの死を招きかねません。

それは囲碁においても同様です。

うまく仲間と連携することで勝負を有利にすすめることができるのです。




ポイント3:仲間作りが孤独死を防ぐ








~序盤まとめ~


ここまでが序盤の流れです。

結局、囲碁一郎さんは第一手目でスミっこに落ち着いた結果、可愛い娘へのアプローチを逃してしまいました。

でもだいじょうぶ!

まだまったく勝負はついていません。

どんな行動が良かったかなんて、中盤・終盤になるまでほとんどわからないのよ。

今回は囲碁一郎さんが人見知りで内向的な性格だったのでスミっこで他人をうらやむ展開になったけど、アグレッシブにいったからってテクニックがなければ自滅するだけ。

スミっこで女の子の方から話しかけてくれるのを待つ方がうまくいく場合だってあるわ。


囲碁の良いところは、基本的には碁石を盤上のどこに置いてもかまわないこと。

みんな盤上では自由にふるまって良いの。

素敵でしょう?

だから、基本的な人間としてのルールを守ってさえいれば、あとは囲碁一郎さんのように自分の性格に合った得意な戦術で自由にパーティーを楽しめば良いわ。




ポイント4:最低限のルールを守ればあとは自由!





囲碁の序盤について、なんとなく雰囲気だけでもわかってもらえたかしら?

くわしいルールが知りたいひとは、強いひとが書いた囲碁の本を読んでね!


さあて、このあと囲碁一郎さんはライバルに勝って彼女をゲットすることができるのかしら?

囲碁で勝つためには最終的に相手よりも多くの陣地が必要なのだけど、それはもっとあとのおはなし。。。



~「序盤編」おわり ~



もりれいのいつもはらぺこ

テクニカルライターもりれいが書くどうかしちゃってる内容の記事を集めたブログです。 おなかの足しにはなりません。